漆塗りのお椀は修理できる?「拭き漆」で蘇る、12年越しの感動体験記

栃の木のお椀を塗り直して12年越しに蘇る
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毎日使うものだからこそ、本当に気に入ったものを選びたい。 12年前、楽天市場の「atakaya(あたかや)」さんで出会った栃の木のお椀は、私にとってそんな「一生もの」の始まりでした。

驚くほど軽く、なめらかな口当たり。 長年愛用するうちに艶が失われ、高台が欠けてしまったときも、「買い換える」という選択肢は私の中にありませんでした。

ショップへ修理(塗り直し)をお願いしてから2カ月半。 我が家に届いた宅急便の箱。

開ける手は、期待でいっぱいでした!どんな風に変わったのでしょうか。

『画像をクリック』すると大きく表示されますので、職人さんの繊細な手仕事もぜひ併せてご覧ください。

包みを開けた瞬間、目に飛び込んできたのは、12年前と同じ…いえ、それ以上に凛とした姿で蘇った美しいお椀でした。

手元に戻ってきたお椀は、まるで命を吹き返したかのような輝きを放っていて、私は思わず、手に取ったお椀をしばらく眺め続けてしまいました。

漆器を修理して使い続ける、贅沢で豊かな時間。

お店とのやり取りや、かかった費用、そして見違えるようなビフォー・アフターの様子を詳しくご紹介します。

【ビフォー/アフター】12年越しの劇的な変化

欠けてしまった高台が蘇った

欠けていた高台は、どこを補修したのか目で追えるものの、指で触れると驚くほどなめらか。ガタツキ一つないその仕上がりに、職人さんの誠実な手仕事を感じます。

もし、お手元に大切にしたいけれど傷んでしまった器があるなら、一度、atakaya(あたかや)さんに相談してみてはいかがでしょうか。私がお世話になったatakayaさんのホームページはこちらです。

職人さんの誠実な想いに触れるだけでも、きっと大切な道具への愛着が深まるはずです。

ショップへの相談と、職人さんの「誠実なこだわり」

職人さんの「誠実なこだわり」と出会うまで

今回、私の大切なお椀を蘇らせてくださったのは、楽天市場にある「モダン漆器 atakaya(あたかや)」さんです。

数ある商品の中で、私が選んだのは『栃の木のお椀 拭き漆』です。

栃の木のお椀の紹介文には、こんな言葉が綴られていました。

素材は天然、国産の『栃の木』、そして『生漆』、『米糊』だけです。

毎日使うものだからこそ、安心なもの、そして気軽に使えるもの。

当社の物作りの原点のような、想いを込めた商品です。

引用:モダン漆器 atakaya 「栃の木のお椀」

「本当に安心して使えるお椀を」という、店主の方と年配の職人さんが試行錯誤して辿り着いた、物作りの原点が詰まったお店。

12年前、こちらでお椀を選んだ当時の自分を褒めてあげたいです!

問い合わせフォームでの丁寧なやりとり

まず最初の問い合わせでは、
『剝がれてしまった漆の塗り直しが可能かどうか』
『お椀の高台が欠けているものについては、修理可能か』
これらを問い合わせました。

送ったその日にいただいた返信内容は、
『修理(塗り直し)は可能(1個あたり2,000円(税別))前後』
『欠けた部分は内容を見て、修理可能か判断します』

欠けた部分はどうなるのか、この時点ではまだわかりませんでした。
けれど、塗り直しはできるとのことなので、3つのお椀の修理をお願いすることに。 

その後も、何度かやり取りし、数日後にお椀3つを送りました。
(送料は自己負担)

事務的なやり取りだけでなく、店主の安宅さんから届く言葉の一つひとつに、職人としての誇りと使い手への愛情が溢れていました。

特に心に残ったのは、このようなお話です。

修理の工程と変化
一度研いで汚れを落とし、数回「拭き漆」を施すことで、表面がより滑らかになり、購入時以上の艶が生まれること。

「毎日使う器」への想い
漆器を修理して使い続けることは、持ち主の愛着を大切にする日本文化の価値観そのものであるという考え。

作り手としての喜び
商売としては新品を売る方が有り難いけれど、作り手としては、修理して永く愛用してもらえることの方が何より嬉しい、という言葉。

素材の価値
近年の栃の木や漆の高騰により、当時の倍ほどの価値になっている天然の国産材への敬意。

修理費用と、12年前の購入価格

楽天市場のショップ問い合わせフォームより、前述したやり取りの中で、修理にかかる費用も事前に教えていただきました。

なので、価格面の不安もなく、安心してお願いすることができました。

  • 漆塗り費用・・・2,200円×3個=6,600円
  • 欠け補修代・・・550円×1個=550円
    合計 7,150円(税込)(送料無料)
塗り直し後の送料について

修理代が5,000円未満の場合・・・修理代+送料770円
修理代が5,000円以上の場合・・・送料無料

今回の修理は、合計5,000円を超えていたため、ありがたいことに、手元に戻ってくる際の送料はかかりませんでした。

支払い方法は、問い合わせフォーム内で、修理完了後に、支払いのためのURLのリンクを貼ってもらい、そこから購入手続きを行ったので、スムーズでした。

「当時、このお椀の価格はいくらだったかな?」
購入履歴を遡ってみると、2013年当時は1つ2,500円でした。 現在は5,000円ほど。月日と共に価値が上がる道具を手にしていたのだと、改めて背筋が伸びる思いです。

今回の修理費用は1つにつき2,200円。当時の購入価格とほぼ変わないけれど、新しく買い直すよりも、私にとっては12年共に過ごしたこのお椀を蘇らせることの方が、ずっと価値のあることでした。

お店にお椀が到着

お店に届いたお椀の状態を見た結果、
『塗り直しの2つは問題なくできる』
『欠けた部分は、職人さんと相談したところ、時間はかかるが修理可能

最終的に、塗り直しだけでなく、<欠けた部分も修理ができる>という嬉しい連絡をいただきました。

さらに具体的に、
「欠けた部分をきれいにカットし、他のお椀から切り取り貼り付ける」
「そのため、そこだけ木目がかわってしまう」
「接着するため長年使うと取れる可能性もある。けれど十分に使える」

という丁寧な説明もいただきました。

私の中では、恐らく欠けは直らないのでは、と思っていたので、嬉しい「まさか!」でした。

このような流れで、12年前、ネットで購入したお椀が、『修理』という形で再びお店に戻ったのでした。

職人のこだわりに触れた一本の電話

修理をお願いして2カ月ほど経った頃、ショップから一本のお電話をいただきました。 「年をまたいでしまっても良いでしょうか」という、丁寧な申し出でした。

その理由は、「欠けていた部分の仕上がりに、どうしてもまだ納得がいかないんです。もう少し時間をかけて、完璧に仕上げさせてください」 とのこと。

さらに「お正月に、このお椀を使うつもりでいたら申し訳ないと思いまして」という優しさがつまったお言葉でした。

ただ「直す」だけでなく、一客のお椀に対してそこまで真摯に向き合ってくださる職人さんのプライド。

私は「このお店にお願いして本当に良かった」と心から思いました。

2026年1月。 約2カ月半という時間をかけて私の元へ戻ってきたお椀は、その電話の言葉通り、手間と時間をかけて完成された凛々しい姿に蘇っていました。

私がこのお椀を「一生もの」と決めた理由

私がこのお椀を「一生もの」と決めたのは、今の時代に、これほどまでこだわり抜いた器に出会うのは、なかなかないことだと思ったからです。

まずは、その素材と生い立ち。国産の栃の木を使い、生漆と米糊という天然素材のみで作られています。口に触れるものだからこそ、この「純粋さ」は何物にも代えがたい安心感を与えてくれます。

そして、手に取った瞬間に驚くのが、わずか70gという軽さです。

さらに、ショップのホームページを拝見して知ったのだけれど、口周りの厚さはわずか1ミリ程度。これは木地師の方々の中でも、非常に難易度が高い職人技なのだそうです。

機械で作られた均一な製品にはない、職人さんの手仕事から生まれる温かみと、凛とした美しさ。

この極限の「薄さ」と「軽さ」があるからこそ、唇に触れた瞬間のあのなめらかな感覚が生まれるのですね。

「直して、また使い続ける」という選択をしたとき、このお椀は私にとって本当の「一生もの」になりました。

「とりあえず」で買わない、私の愛用品たち

実を言うと、私はもともと、身の回りの道具を「とりあえず」で買うのが少し苦手です。

もちろん百均のような手軽に使える物も利用します。便利なアイテムをありがたく使うことも多いのだけれど、本格的に道具を買おう、となると自分なりにこだわりのあるものが欲しくなってしまうのです。

職人さんが時間をかけて作った物や、ただただ見ていて心惹かれる物、そういった物を少しずつ集めていくうちに、お椀以外にも長く時を共にしてきた物たちがたくさんあります。

愛用中の物
  • 25年愛用している「ル・クルーゼのお鍋」
  • 同じく四半世紀、料理を支えてくれている「クリステルの鍋」
  • 研ぎ直しながら使い続けている「グローバルの包丁」

これらに共通しているのは、流行に左右されない機能美と、手入れをすればそれに応えてくれる「確かさ」です。

四半世紀近く、一度も損なわれることなく使い続けてこられたその耐久性は、まさに本物の証と言えます。

ame
ame

四半世紀近く使い続けて、今もまだ現役中です

そして、もう一つ忘れてならないのは、20年以上使い続けているシチリアの伝統、ジョバンニ・デ・シモーネの器。

キッチンを彩るイタリアのデシモーネ(De Simone)の陶器たち。 植木鉢のような素朴な質感のこのお皿は、長く使ううちに表面が少し欠けて地の色が見えてしまっています。

本来なら修理が必要な状態かもしれないけれど、その欠けた姿すら愛おしい。

漆器のように塗り直すことはできなくても、ボロボロになっても側に置いておきたい。私にとっての『一生もの』には、そんな理由のない愛着も含まれています。

良いものを、お手入れしながら、添い遂げる。 そうなると自然と他のお鍋や食器に目移りすることがなくなりました。

安価な物でもいい物はたくさんあります。けれど、少し背伸びして買った物は簡単に買い換えようとは思わない。自分が心から好きな道具に囲まれている方が、日々の家事がずっと豊かな時間に感じられるからです。

最近では、ずっと欲しかった南部鉄器の鉄瓶が新たに仲間入りしました。

この鉄瓶もまた、10年、20年と時を重ねて、いつかあのお椀のように私の手に馴染んでくれるのかな、と期待せずにいられません。

12年目のめぐりあわせと、これからの10年

ふと振り返れば、このお椀を初めて手にしたのも12年前の10月でした。 偶然にも同じ季節に修理を終え、再び私の元へ戻ってきたことに、言葉にできない不思議なめぐりあわせを感じています。

職人さんの手によって命を吹き返したお椀。

これからもこのなめらかな口当たりを楽しみながら、日々の食事と、自分自身の時間を大切に積み重ねていきたいと思います。


<今回の修理事例>
ショップ:モダン漆器 atakaya
期間:約1カ月~2カ月半(お椀の状態により異なります)
費用:1個あたり2,000円前後(税別・送料別)


まゆっち
まゆっち

最後まで読んでくれてありがとう!

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